頑健な混合事前分布と、既存薬の情報の借用
頑健な混合事前分布は、既存のデータによる情報のある成分と、情報の乏しい成分を、借用の重みで混ぜる。新しいデータが食い違えば借用を弱めるはずだが、例数が少ないとほとんど働かないことがある。
定義
ベイズ流の試験では、以前の試験(ここでは既存薬)のデータを事前分布として借りられる。頑健な混合事前分布は、次の2つの成分の重みつきの混合である。
- 既存のデータに基づく情報のある成分(重み ω)
- 情報の乏しい成分(重み 1 − ω)
ω が借用の重みで、0は借りない、1は全量を借りる。新しいデータが既存のデータと食い違うと、情報のある成分の事後の重みが下がり、既存のデータが結果に与える影響が小さくなるはずである(Schmidliら、2014)。
このサイトの解析で分かったこと
既存薬の用量比較を借りる解析では、sotorasibとifinatamab deruxtecanの公表された用量比較を、1群40例の仮想の新薬の事前分布として使った。
- 新薬が既存薬と同等なら、借用で正しい用量を選ぶ割合は6〜10ポイント上がったが、期待後悔の改善は1ポイント程度だった。
- 新薬が既存薬と逆の用量を有利にする場合、全量の借用で正選択率は28〜42%まで下がった。
- 1群40例では食い違いがほとんど検出されず、混合事前分布は自動では守ってくれなかった。借用の重みを0.25〜0.5にすると、損は1ポイント以内に収まった。
入力の1つは、sotorasibの用量比較である。
よくある質問
借用の重み ω は何を意味しますか。
混合事前分布のうち、情報のある(既存データの)成分の重みです。0は借りない、1は既存薬のデータを全量借りることを表します。
頑健な混合事前分布は、新薬が既存薬と違うときに守ってくれますか。
データが食い違うと既存データの成分の重みを下げることで守るよう設計されています。ただし1群40例のシミュレーションでは、15ポイント程度の差はほとんど検出されず、自動で守られるとは考えられません。