T細胞誘導二重特異性抗体のステップアップ投与

ステップアップ投与は、少量から始め、最初のサイクルのうちに目標の用量まで段階的に増やして、最初の濃度ピークを下げる。ピークが低いことだけでは、サイトカイン放出症候群がどれだけ減るかは分からない。

定義

ステップアップ投与(プライミング投与、漸増投与ともいう)は、少量から始め、通常は最初のサイクルのうちに段階的に増やして、目標(維持)の用量に到達させる投与方式である。最初に多く投与するとサイトカイン放出症候群(CRS)が起こりうるT細胞誘導二重特異性抗体で使われる。

例

米国の静注製剤のmosunetuzumabでは、サイクル1の1日目、8日目、15日目に1 mg、2 mg、60 mg、サイクル2の1日目に60 mg、サイクル3以降は21日ごとに30 mgを投与する。

PKで言えること

最初の用量を小さくすると、最初の濃度ピークは下がる。母集団PKモデルで、最初の用量、2回目の用量、間隔によって曝露がどう変わるかを数量化できる。しかし、血中濃度が低いことは、CRSがどれだけ減るかを示さない。それにはPKから受容体占有率、占有率からCRSへの結びつきが必要で、公開情報が各段階を支える程度は異なる。

このサイトでは

mosunetuzumabの解析は、公表モデルを再実装し、これらの段階を分けて扱っている。tarlatamabの解析は、平均曝露をそろえるだけで投与間隔をどこまで決められるかを問う。どちらも研究と学習のための解析であり、投与の提案ではない。

よくある質問

T細胞誘導抗体で、なぜステップアップ投与をするのですか。

最初に多く投与すると、強いサイトカイン放出が起こりうるためです。少量から段階的に増やすと、最初の濃度ピークが下がり、サイトカイン放出症候群の重さを抑えることを狙えます。

PKモデルで、ステップアップ投与を変えたときのCRSの量を予測できますか。

PKだけではできません。曝露がどう変わるかは示せますが、CRSの発生率の予測には、PKから受容体占有率、占有率からCRSへの検証された結びつきが必要で、公開情報は十分に与えていません。

最終更新: 2026-10-22 · ツールと用語集